【施工事例】長福寺鐘楼の基礎修復工事

朝、鐘の音と共に目を覚ます。
夕方には、公園で遊んでいた子どもたちが鐘の音と共に帰路につく。
そんなふうに、普段は意識せずとも人々の生活に自然と溶け込んでいるお寺の鐘。

若狭高浜の若宮海水浴場にほど近い、長福寺にある鐘楼。

基礎の割れや剥がれが顕著になってきたため、改修工事を行いました。

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曳家の技術

鐘楼はそのままに基礎部分のみ改修するため、『曳家』の要領で鐘楼を持ち上げます。

『曳家』とは、建物や構築物を解体せずに現状を維持したまま移動させる、日本の伝統的な建築工法。組み上げた枕木の上に鋼材を渡し、鐘楼を支えた状態でジャッキアップします。

鐘楼を嵩上げした状態で、古い土間をはつり、新しく土間コンクリート打設します。

表面をモルタルできれいに仕上げていきます。

基礎工事

自然石でつくられた礎石は、そのまま再利用します。独立基礎の上に礎石を置き、
その上に嵩上げしていた鐘楼をゆっくりと下ろしていきます。

現在の建築基準法では石場建ての基礎が認められないため、礎石と柱はダボで継いで固定します。

※石場建て…石の上に柱を載せただけで固定しない、伝統的な基礎工法。

石段も一新

鐘楼へと続く石段も、崩れ落ちそうだったのでコンクリートで補修しました。

強度も上がり、見た目にも美しく。足元の安全が確保された長福寺の鐘楼はこれからも、大晦日には重厚な鐘の音を響かせてくれるのでしょうか。

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